ADファシリテーター認定コースのエキストラ講習

『依頼者とは?』『コーディネーターの役割とは?』『ファシリテーターの役割とは?』といった、わかっているようで曖昧になってしまっている点を明確にし、理解を深めていく講習を開催しました。
Early Dialogue (ED:早期ダイアローグ)、Anticipation Dialogues(AD:未来語りのダイアローグ)を進めていく上での全体の流れを改めて確認しながら、受講生の方が学びを進めていく上で難しいと感じている事を対話形式で抽出し、レクチャーやロールプレイを行いました。
受講いただいた皆様から感想が寄せられましたので、是非ご覧ください。


未来語りのダイアローグ(Anticipation dialogues=AD(以下AD))によせて

フィンランドからTom Erik Arnkil氏、Jukka Antero Hakola氏、Olli Laiho氏等が来日するたび講義を受け、ダイアローグを学んだ日々。修了証書を手渡されてからまもなく1年になろうとしている。
たびたびの合宿集中講義のなかで、圧倒的な肯定感と信頼感のある眼差しと姿勢に守られながら話を聴く、また聴いてもらうとは、どういうことなのかを経験した。
“ダイアローグ文化を、その土壌を、少しずつでも日本の土地にまぶして、種をまいて育てていきたい、根がはえ芽を出していくのを見届けていきたい”気持ちが、ここ最近になって心の奥底で沸々と沸き起こりはじめていた。
どこからはじめたらよいのか__、記憶を揺さぶり起こしたかったのかもしれない。
今月、代々木のオリンピック記念センター青少年総合センター研修棟へと向かっていた。
一室のドアを開けると、学びの場で一緒だった顔、また顔が振り向いた。
フィンランド語の逐語通訳をたよりに、講師たちの表情を追いかけながら、一年集中研修を一緒に過ごした面々であった。
それぞれ大学で教えていたり、現場のプロフェッショナルであったり、NPOの代表等であったり、畑も違う立場の違いはあっても、一つ、ダイアローグを学びながら感じてきた事を、心の深いところで希求し深めていきたいという点で、いまも通じているものがある。再びその場に居合わせた喜びを、胸の深いところで感じていた。

ADは、それは未来の想起という構造のなかで対話を行うアプローチだった。
「多職種で関わっているが、行き詰っている、組織の連携がうまくいっていない、家族それぞれがなにをどう考えているのかわからない」関連した問題や状況に対応するフィンランドで独自に開発されたダイアローグの手法、ソーシャルネットワークの処方箋だった。
ファシリテーターが置かれ、ファシリテーターは話し合われている話題については第三者の立場をとる。が、しかし対話のなかでその場に集まった多様な関係者は、互いに話すのではなく、ファシリテーターに向かって自分の希望や不安、そして未来を話すのである。
言ってみれば、集まった関係者たちは、その場にいる関係他者を気にする必要なく、自身の希望や不安を述べてもいいという自由を得る構造となっていた。
もう一つ、その場に安心安全な空間が成立し、未来を語ろうという場となるためには、会合の提案者からの申し出が、切実かつ対等で、腑に落ちるものでなくてはならない。

対話は、対等な関係性のなかでしか成立しない・・・、対話の反対語は戦略、講義で学んだ言葉が、風景が、レヴィナスの哲学などと一緒に頭のなかを走馬灯のように駆け巡る。
この日は、そのADの心臓部ともいえる、ED(Early Dialogues)のまさにtaking up one’s worriesのプロセスを集中的にロールプレイで行った。
具体的な事例におとしてのEDのロールプレイがはじまると、インタビューされる方もする方も、その瞬間、顔つきと表情とが変化していった。

他者の話を聴く時は、Powerful:パワフルであって、それでいて同時に脆弱な存在=Vulnearable:ヴァルネラブルでなくてはならない___、私自身、長いあいだ法律家等と仕事をしながら、様々な面談の場面で体験し反省もし学んだ事等を思い起こしていた。日本では、この専門家も“対等”という辺りがダイアローグを難しくしている。
白木孝二氏と村井美和子氏によるアプローチとアドバイスは的確で、あたかかく、フィンランドから帰国したばかりの高橋ゆう子氏の視点は実際的で、繊細で、貴重だった。深謝。少人数だったからこそ可能になった学びのひとときは、関西で講義も開催とのこと。
再びいつかまたこのような機会がめぐってくるのを期待している。

18年度ADファシリテーター認定コース受講生
エイジング社会研究センター 理事 籔本亜里

安心・安全感に包まれ
Anticipation dialogues Seminar(未来語りのダイアローグ:ファシリテーター育成 エキストラ講習)が、11月2日(土)にありました。(国立オリンピック記念青少年総合センター)
なんでもスープが冷めない内に大切な記憶は、言葉に残さないといけません!と後悔しきりです。
新しい手法をとり入れたDialogues(ED、AD)によって、膠着している対人関係がひっくり返って思考が変化していく。これは、体験的なトレーニングでのみ身につく職人的なSkill(芸 Art)のような気がする。フランス語学習で、フランス語で日記をつけ夢を見るようにならないといけないとあった。このDialoguesの世界も同じく、夢でうなされるほどにならないといけないと覚悟しました。
しかし、今後こんなゴージャスな講師、スーパーバイザー、事務局スタッフ陣の合計5名vs受講者3名は、あり得ない最高のseminarとなるでしょう。安心・安全感に包まれ手取り足とりと大切にされ、徹底した個人別のモチベーションに沿った、Custom-made programとなりました。
美和さんのAD体験の豊かさから学び、ゆう子さんのrole play modelにヒントがひらめき、あのニヒルを装う白木師匠の素敵な笑顔を、私は見逃せませんでした。

18年度ADファシリテーター認定コース受講生
国際医療福祉大学大学院 教授 相澤和美

自分の変化を見つけました
あの日、あの時、あの空間でしか経験できないこと。毎日がそのような連続なのに、あの日は私にとって特別でした。
とにかく充実していました。講師陣とスタッフの豪勢なこと。きっと多くの白木先生ファン、村井さんファンが驚いたような人数設定でした。
オーダーメイドであり、気づきたくさん。優しい(うふ!)白木先生。村井さんの経験とやさしさ。静かに示してくださる高橋さん。自分と向き合う時間。皆さんが同じように学ぶのだという心。一生に一度、一期一会の会でした。
懸念を話始めると、「それは何で」、「そうなるとあなたは何で困るの」という白木先生の質問に、躊躇なく自分のだめさやいたらなさを思い浮かべられたことに、自分の変化を見つけました。ダイアローグに出会っていなかったら、このよう自分の弱点を人前に広げることはなかったのではないかと思いました。ま、こういう能天気な自分にもこの文章を書きながら気づきます。
そして、相澤さんも籔本さんも、しかとダイアローグに没入していらっしゃる。私にとって特別なひと時でした。でもね、仲間のみんなに会いたかったんです。また、講師の皆さん、事務局の皆さん、仲間の皆さんに会えることを楽しみにしています。

18年度ADファシリテーター認定コース受講生
特定非営利活動法人 煌めく返り花 代表理事 西野歩