フィンランド発の「デモクラシーを守るダイアローグ」の オンライン・イベント

このオンラインイベントは、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、フィンランド政府のシンクタンク組織「SITRA」が、政府の支援とダイアローグの専門家グループであるTimeout Foundation(フィンランド)と連携して、国際的にデモクラシーを推進するために企画されました。
DPIの協力団体であるTimeout Foundationの代表者であるKai Alhanen氏からの呼びかけに応じて、DPIでは日本国内でオーガナイズをするとともに、参加者を一般応募して対話の場を創りました。
「あなたにとって民主的とは?」というテーマのダイアローグのもとに、合計12名の参加者によって、2022年7月23日に実施され、その内容と記録ログは英語に翻訳してSITRAに報告しました。当日ファシリテーターをされた4名の方から感想を頂きましたので、掲載させて頂きます。

参加者数(ファシリテーターを含む):
グループ1 / 6名(ファシリテーター:石川さん、箕田さん)
グループ2 / 6名(ファシリテーター:宮田さん、にしいさん)

DPI担当スタッフ:3名

開催日時
2022年7月23日午後3時半〜5時半

開催場所
オンライン・ズーム

グループ1 / 聴き手ファシリテーター:石川さん

気軽に応募し、大役でしたが、対話を実践されている参加者の方々から日本の民主主義のもどかしさ、個人を大切にする社会へシフトしていけるか、次世代の子どもたちの子育て・教育のシステムつくりや対話の場の大切さ、対話実践が民主主義の社会つくりにも貢献できるのではないかという気づきに至りました。地道に対話実践を通じて、次世代につなげていこうと思いました。貴重な経験をさせて頂きありがとうございました! 

グループ1 / 書き手ファシリテーター:箕田さん

デンマークに在住して14年になります。ずっと民主的って、民主主義ってどういうことなのだろう、と考えていました。その私の関心事について、ダイアローグというお互いの経験や意見を語り合いながら、お互いに学びあえるという場で、日本にいる同じ関心を持つ人々と話し合えるということでとても楽しみにしていました。
 各々の人生経験から語られる、民主的についての考察は、とても興味深いものでした。今回のテーマの入口に立ったな、というところで2時間はあっという間に過ぎてしまいました。もっと話をしたい、この続きをまたしたい、というのが今の率直な思いです。
 ダイアローグに関しては全くの素人でしたが、書きファシリテーターという役割を得ての参加となりました。当日は対話参加者の皆さんのダイアローグに対する確かな知識と技術に、心地よい安定感を感じていました。ダイアローグのルールに則った上で、当日は本当に真摯で前向きに対話が重ねられていると感じられ、印象深いものでした。参加している皆さんのどの発言も、とても固有で貴重なものに思え、発言を書き留めることに、多くのエネルギーを費やした感じがします。
 日が経つにつれ振り返ると、もっとこうしたら良かったな、対話がこんな風に流れたな、あの話はもっと聞いてみたかったな、もし聞けていたらまた違う流れになったかな、など思うことがたくさんあります。ダイアローグのファシリテーションについて、自然と興味が沸いていました。
 もし今日の対話参加者のような人達で今の日本社会が成り立っていたら、対話が人々の日常生活に溢れていたら、日本には今とは違う民主的な様子が見られていたのかもしれないな、と思いを馳せます。道のりは決して短くはないですが、焦らず、ゆっくり、しっかりと、歩みを日本社会のために進めていければいいなぁと感じています。
貴重な経験を、ありがとうございました。

グループ2 / 聞き手ファシリテーター:宮田さん

この度は、とても貴重な世界的なイベントを主催して頂きありがとうございました。最近起きた事件もあり「民主的とはなにか」について、とても誰かと対話したいところでしたので、個人的にも良い機会となりました。

日本では政治的な話がタブーな雰囲気があるため、話し慣れていない「あなたにとって民主的とは?」というテーマが、どのように広がっていくのか、暴走する可能性もあるのではないかと、とても興味深くスタートさせていただきました。その期待と裏腹に(?)皆さんがしっかりとダイアローグをする姿勢でいたためか、良い時間が広がったように感じます。そして、皆さんダイアローグを学んでいる方だったためか、テクニックや知識もシェアするタイミングもあり、テーマ以上の濃い時間でした。

とにかく、民主的という言葉の捉え方が十人十色なことをシェアできただけでも今回の会は大成功だったように感じます。最後にどなたかが言っていた、こうやってこのことを話し続けることが民主的なのかもしれない、という言葉にそれが現れていたように感じます。

聴きファシリテーションに関しては、テーマが大きい分難しさも感じ、深みが増すような工夫があの場面でできたかもしれない等、数日経って振り返ると反省点は幾つかあります。ただ、書きファシリテーターがいる場でのファシリテーションは初めてだったため、その存在の大きさを感じました。2人での振り返り会をしたのですが、場面が大きく変わったタイミングを教えて頂いたりと、聴きファシリテーションをしているだけでは気づかない起きていたことのポイントのシェアが出来たことが、大きな経験値になりました。

最後に、このテーマでのダイアローグは今日本にとても必要なことだと再認識できました。ぜひDPIと共に、少しでもこのダイアローグができる機会が増やせれば幸いです。

グループ2 / 書き手ファシリテーター:にしいさん

​貴重な体験をしました。日常的に話しにくいテーマがダイアローグを重ねることでより真摯に考えることができました。
 また、いろんな方の多様な意見により深まりや広がりを感じ、今までに浮かばなかった「デモクラシー」が見えたことが大きな気づきです
貴重な機会をありがとうございました。

DPI担当スタッフ一同
~ う・ら・ば・な・し ~   
はじまりは、理事のひとりからの提案からでした。SITRAのホームページをみると、日本からのエントリーと思われるものが数件あり、呼びかけに応えていただいたかたがたに感謝いたします。どのような対話の場になったかを知るすべはありませんが、きっと豊かな場になったのだろうと。
DPIでは、「あなたにとって、民主的とは?」として対話へのお誘いをしました。SITRAが示している開催形式をみると、ファシリテーターを2名(聞き手、書き手)で行うとなっており、DPIで担うべきか、参加者から募るべきかで意見が分かれましたが、最終的には参加者の中から手を上げてくれた4名の方々がファシリテーターを担当してくださり、対話の場を開くことができました。参加された皆さん、ファシリテーターのみなさん、ありがとうございました。お一人おひとりが、『対話性』を体現してくれたことに感謝いたします。
これからも、DPIの身の丈にあった対話の場を開いていきますので、よろしければご参加ください。